メディカルサロン風本真吾の訓え
背の伸びが止まりかけている時期、あるいは、背の伸びが止まった直後の時期、つまり、ここ1年の伸びが1cm以下、あるいは、もう伸びていない、という場合は、治療の際には以下のように考えるのが妥当です。
背の伸びが止まった子どもへの低身長治療
第一条
骨端線は閉鎖している場合がほとんどだが、骨全体に散在する骨芽細胞が反応を起こして、いくらか伸ばすことができる。この点に着目し、まずは骨の本体を伸ばすことを目論んで治療を遂行する。
第二条
採血して、性ホルモンが成人相当になっており、ALP値も低値になっている際は、治療した場合、約半数の人は1~2cmの伸びで止まってしまうが、一定の割合で2~6cm伸ばせる人が出現する。
第三条
標準的な治療においては、最初の一か月がよく伸びる。治療を二か月、三か月と行っているうちにだんだんと伸びだすということはない。ただし、治療内容を変更して伸びだすことはある。
第四条
最初の一か月で4~7mm伸びても、二か月目以降、伸び率が急低下することもしばしばである。
第五条
一か月目でよく伸びても、二か月目、三か月目の伸び率が悪い場合は、四か月目に採血検査を行い、身体状況を再確認し、治療方針を変えることがある。ただし、状況によってはその時点で、骨の本体を伸ばす治療をあきらめることもしばしばである。
第六条
一か月目から三か月目に一定の伸びが見られた場合、2cm以上伸ばすことを目標として治療計画を再検討する。
第七条
六か月で2cm以上伸びても、3~4cmの伸びで止まることが大半である。ただし、まれに5~6cm伸ばせる場合が存在する。
第八条
骨本体の伸びをあきらめても、骨端の軟骨や椎間板を反応させて、1cm前後伸ばすことができる。20歳を超えた人でも、治療により1~2cm伸ばせることがしばしばだが、このメカニズムによるものであろう。
第九条
成長ホルモンの注射を一か月連続使用した場合、最初の一か月でいくらか伸びることがあるが、すぐに止まってしまう。個の治療を行った場合は、その後にどんな治療に取り組んでもまったく反応しないことが多い。
この時期の蛋白同化ホルモン剤の使用も同様である。ただし、治療上の特殊な工夫がなされた場合は、その限りではない。