日本の女性のガン死の第1位は、大腸ガンである

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メディカルサロン風本真吾の訓え

日本の女性のガン死の第1位は、大腸ガンである

ここ20~30年、勢いよく増えているガンが「肺ガン」と「大腸ガン」です。外気にいつもさらされている肺は、何かと外来物質から直接ダメージを受けやすい臓器です。工業社会、車社会の発展とともに、その外気に含まれる刺激物質が増えているので、肺ガンが増えていることには納得されます。しかし、日本において、なぜ大腸ガンは増えているのでしょうか?

もともと、日本において大腸ガンは少なかったといえます。しかし、アメリカに住む日系2世、3世の大腸ガンの発生率が、世界で1~2位を争う高率であることは20年以上前から知られていました。当時から、「日本人の遺伝体質で、食生活が欧米化したら、大腸ガン死が増える」ということは、予想されていました。

大腸粘膜の細胞に何かの遺伝子的な変化が起こり、まずはちょっとした盛り上がり=大腸ポリープができあがります。そのポリープが、やがてガンへと進展します。「遺伝子的な変化を起こす原因因子」を発ガン因子といいます。
胃の粘膜に対するピロリ菌、肝細胞に対する肝炎ウイルス、肺に対するタバコ成分やPM2.5、子宮頸部に対するヒトパピローマウイルスなど、発ガン因子は多く知られていますが、大腸ガンに対する明確な発ガン因子は知られていません。
やはりポリープができる原因は遺伝子的なものと考えざるを得ないのです。つまり、日本人には、もともと大腸ポリープができやすい遺伝子が潜んでいるのです。確かに大腸ガンの発生には、家族性要素が潜んでいます。両親や祖父母が大腸ガンの場合、やはり当人の大腸ガン発生率が高いことは確定的で、遺伝問題は間違いなく関与しています。

問題は、そのポリープが大きくなりガン化するのはなぜか、という点です。

昔の日本人は大腸ガンで死ぬ人は少なかったので、遺伝的にポリープはできるが、ガン化にまでは至らなかったと考えられます。
そこで、ここ50年の生活環境の変化を論じることになります。直接的に関係するのは、食生活です。日本人の食生活が欧米化したといわれますが、その実態は肉食化と脂肪摂取量の増加です。確かに、肉食は増え、脂肪摂取量は増大しました。味わいにまろやかさを添える脂肪は、お菓子類にも大量に含まれています。

我々が摂取する脂肪分といえば、まずは食用油を連想します。菜種油、大豆油、ベニ花油・・・、これらは、植物性脂肪といわれています。アブラは脂肪酸でできていますが、その脂肪酸には多くの種類があります。

植物性脂肪の特徴は、リノール酸が多いことです。つまり、「食生活が欧米化して脂肪摂取量が増えた」というのは、直接的にリノール酸摂取が増えたと言い換えることができます。もちろん、肉に付着する飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸)も増えますが、ここではリノール酸摂取が増えたということが重要なのです。

<図1>に示す反応経路のとおり、体内において、リノール酸の一部はアラキドン酸に変換されて蓄積していきます。

このアラキドン酸が曲者(くせもの)です。大腸ガンが大きくなる過程では、アラキドン酸が利用されます。アラキドン酸は、炎症などの種々の反応経路において起点となる役割を演じますが、その反応経路の一部が大腸ポリープのガン化や増大に利用されるのです。つまり、

  1. もともと日本では遺伝子的に大腸ポリープができやすい
  2. 食生活の欧米化により、体内に蓄積するアラキドン酸が増えた
  3. そのアラキドン酸は、ポリープをガン化させ、増大させる

という公式が成り立つのです。

まとめると「外気中の刺激物質が増えると肺ガンが増える」というのと同様に、「リノール酸摂取が増えると体内に蓄積するアラキドン酸が増えて大腸ガンが増える」と理解することができます。

診療現場には、「若い女性を見たら妊娠していると思え」という格言があります。体調不良を訴えて来院した患者に対して、放射線を浴びせる検査を行うことがしばしばですが、妊娠している患者に放射線を浴びせたら、胎児が奇形化してしまうことがあります。ですから、若い女性に対しては不用意に放射線検査を行ってはいけないよ、という戒めで「若い女性を見たら妊娠していると思え」と語られ、妊娠している可能性をよく聴取し、チェックしなければいけないということを指示しているのです。
それと同様でメディカルサロンでは、「60歳以上の女性を見たら、大腸ガンが潜んでいると思え」という格言を設けています。60歳以上の女性の体調不良に対しては、「高齢だから仕方がない」などと油断せずに、「大腸ガンが潜んでいるかもしれない」というのを念頭におきなさい、と戒めているのです。

それほどに、大腸ガンには警戒してほしいものです。

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院長:風本真吾

略歴

平成元年 慶應義塾大学医学部卒業
2年間研修医を経て同医学部内科大学院へ
平成4年 四谷メディカルサロン(現四谷メディカルクリニック)開設
現在に至る