体重と脂肪と予想医学

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メディカルサロン風本真吾の訓え

体重と脂肪と予想医学

ゴルフの競技で初めて会った人が語っていました。「私はカテーテルで心臓の手術を受けたことがあります。3本の血管のうち1本が90%以上詰まっていたそうです。しかし、その後通うようになった病院でいわれています。あなたの身長から計算すると体重は62kgでなければいけません、と。私はその医師と口論になりました。私は肩幅もかなりあるし、胸板も厚い。若いころから鍛えているから、太腿も太い。62kgなんて、無理だ」。担当医にかなり不満があるようです。

「風本先生、どう思います?暴論だと思いませんか」と尋ねられましたので、静かに答えておきました。「それは確かに暴論です。しかし、健康保険制度下の医師は、健康保険制度下の医療を稼動させることが仕事です。医師は、『こんなときはこうする』と健康保険制度で定められた医療のシステムを稼動させるひとつの駒に過ぎません。駒に過ぎないことを理解したうえで医師と接してください。その医師を責めてはいけません。その体重があなた個人にとってどうかという問題は、自分で勉強するか、私のような医師に尋ねるのがいいです」と。

体重が重すぎると健康トラブルが増えて長生きできなくなる、といわれてきました。確かにその傾向があります。しかし、もっと緻密に考えなければいけない時代になっています。例えば、太っているとコレステロール値が高くなることが多いのですが、太っていても正常値の人もいます。また、痩せすぎている人の平均寿命は短いともいわれています。

「太っていても長生きしている人がいる。その人はどこがどう違うのだろうか」と考えて、その結論を導いていかなければいけないのです。

「太っている」という現象に関して考えてみましょう。20歳のときの体重は何kgでしたか?そして今の体重は何kgですか?10kg増えていたとしましょう。その10kgは何ですか?脳や内臓ではありません。よほど鍛えていない限り筋肉でもありません。増えた体重のほぼ全てが脂肪です。
では、その脂肪の役割は?エネルギーを体内にストックすることです。何かの事故で遭難して「水はあるけれども、食べ物がない」となったとき、たいていの場合、脂肪がたくさん付いている人のほうが長く生き延びます。脂肪はエネルギーを蓄積するという重要な役割を担っているのです。ほんの20年前までは、脂肪の役割はそれだけだと思われていました(もちろん、断熱材としての役割やクッションの役割はあります)。
しかし、その後の研究でそれだけではないことがわかりました。脂肪細胞は血液中にいろいろな成分を放出し、その成分を介して身体の機能に影響を与えていることがわかったのです(そのいろいろな成分は、総称してアディポサイトカインといわれています)。

アディポネクチン

まず、脂肪細胞はアディポネクチンという成分を放出します。アディポネクチンは血液中をめぐって、糖尿病を予防し、動脈硬化、特に脳梗塞に関係する動脈硬化を予防する成分であることがわかってきました。予防する成分ですからアディポネクチンの数値は大きいほうがいいのです。大きいほうがいいということは、脂肪が多いほうがいいということなのでしょうか?

このアディポネクチンは脂肪が少ないと低い数値を示します。脂肪が多くなるにつれて徐々に高くなります。しかし、脂肪が増えすぎると今度はまた低くなっていくのです。つまり、その人にとって適量の脂肪がついているときに最も高い数値を示すのです。(図1参照)。

ベストの数値は、7.0以上。4.0以下は危険ゾーンで、将来の糖尿病発症や脳梗塞の発症を気遣わなければいけません。つまり、自分個人のベスト体重は、このアディポネクチンの数値を参考にすることができます。この数値は遺伝的な要素もありますので、脂肪量を適量にしても、7.0を超えることができない体質の人がいます。その場合は、脂肪細胞の中身の脂肪成分をEPA化させるなどの対策を立てなければいきません。

PAI-1(プラスミノーゲン・アクティベーター・インヒビター)

もう一つ、脂肪細胞が放出する成分で覚えておいて欲しいものに、PAI-1(プラスミノーゲン・アクティベーター・インヒビター)があります。この成分は、血管内でコロリンとした血栓を形成する最終段階で働く成分で、まさに血液凝固のとどめのような成分です。この数値が高いと心筋梗塞や脳梗塞を起こしても不思議ではありません。
この成分の血中での基礎レベルは、脂肪が多いほど高くなります。ベストは50以下、70を超えると危険ゾーンです。PAI-1は、実は精神的ストレスや身体的ストレスが大きくなると血管内皮細胞からも分泌されます。もともと血中のPAI-1の高い太っている人が、マラソンなどを行って身体的にストレスをかけると、内皮細胞からもPAI-1が分泌されて、血中PAI-1濃度は急速に高くなります。そんなとき、突然の心筋梗塞を発症することがしばしばです。「最近太ってきたし、運動不足だからジョギングでもするか」と思って駆け出したところ、200~300mも走らないうちに胸を押さえてしゃがみこんで、そのまま死んでしまった・・・などの話がしばしばあるのは、このPAI-1が原因になっています。

かなり太っていても80歳以上まで元気に長生きしている人は、この前述のPAI-1が低く、そして前述のアディポネクチンが高い人がほとんどであるといっても過言ではありません。運よく、そのようなタイプの良性の脂肪細胞を持っている人の場合は、太っていても長生きできるのです。

とはいえ、身についている脂肪が仮に良性の脂肪であったとしても、過体重は膝への負担を高めます。膝にダメージを与えるほどの体重増加は避けてものです。

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院長:風本真吾

略歴

平成元年 慶應義塾大学医学部卒業
2年間研修医を経て同医学部内科大学院へ
平成4年 四谷メディカルサロン(現四谷メディカルクリニック)開設
現在に至る