放射線被ばく

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メディカルサロン風本真吾の訓え

放射線被ばく

1945年、広島に原子爆弾が投下されました。爆心地から500m以内の建物は爆風により瞬時に破壊され、熱線を浴びた人々は一瞬にして黒こげ死体になりました。2km以内でも木造家屋はすべて倒壊し、野外にいる人は黒こげ死体となり、大半が死亡しました。熱線により木造家屋からは火災が発生し、はるか20km離れた人でさえ「熱い」と感じたといいます。すさまじい威力です。

通常の爆弾は熱線と爆風による被害が主となりますが、原子爆弾の場合は、熱線と爆風による被害だけでなく、その後に放射能による被害を受けることになります。爆発直後の熱線と爆風の難から逃れられた人も、1km以内にいた人は大量の放射線を浴び、2週間以内におよそ90%の人が死亡しました。5km以内にいた人も急性放射線症を発症し、悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、発熱を発症し、2週間目には脱毛、3週目からは、白血球、血小板の減少による皮下出血などが生じ、ほとんどの人がそのまま死んでいきました。その場は生き延びた人も、数年後には白血病を発症し、多くの人が死にいたりました。

放射能による障害といえば、我々日本人には広島、長崎の原子爆弾の印象が強烈ですので、瞬時に死んでしまうというイメージを持っています。しかし、実際には異なっています。瞬時に死ぬのは、爆発による熱線や爆風(衝撃波)によるものであって、放射能によるものではありません。放射能によるものは、じわじわと発症してきます。仮にとんでもなく大量の放射線を浴びても、最初はケロリとしていて、数時間は生きているのです。

さて、放射線の単位として、東日本大震災以後によく耳にするのは、ベクレルとシーベルトです。診療現場では、グレイという単位もよく用います。この3つの単位に関して説明します。

ベクレルというのは、1つの物質、あるいは一つの塊が1秒間に出す放射線の回数を示します。例えば、放射能汚染された枯葉があった場合、その枯葉が放出する放射線の1秒あたりの回数です。1つのモノがどれほど強い放射能を持っているかがわかります。
グレイというのは、単位質量あたりの物質が吸収した放射線量をエネルギーに換算した数値を示します。前述のベクレルは放射線をどれくらい出すかを示し、グレイは放射線をどれくらい受け止めたかを示します。人体の正常細胞は、1日に2グレイ、総量で50~60グレイの放射線を受け止めても、とりあえず異変は起こりにくい(許容範囲)とされています。このグレイという単位は、ガンに対する放射線治療の際によく用いられています。1日に2グレイの放射線を照射すると正常細胞は耐えますが、ガン細胞は障害を受けて消滅することがあるのです。
さて、最近最もよく聞くのがシーベルトです。前述のグレイが受け止めた放射線量を単純にエネルギー換算したものであるのに対し、シーベルトは単純なエネルギー換算ではなく、放射線の種類(ガンマ線やアルファ線など)をも計算に入れて、人体に与えるダメージの度合いを示したものです。

以上の3つを考えてみると、日常生活においては、やはりシーベルトが一番気になることでしょう。ですから、最近の報道は、シーベルトが主流になっているのです。

グレイ 単位質量あたりの物質が吸収した放射線量をエネルギーに換算した数値を示す。放射線をどれくらい受け止めたかがわかる。
ベクレル 1つの物質(あるいは塊)が1秒間に出す放射線の回数を占める。1つのモノがどれほど強い放射能を持っているかがわかる。
シーベルト 受け止めた放射線量を放射能の種類(ガンマ線やアルファ線など)をも計算に入れて、人体に与えるダメージの度合いを示したもの。

我々人間は、地球上では、どこで生活していても、宇宙から地球に届けられる自然放射線、地殻・建材からの自然放射線、体内にもともと存在している自然放射線(カリウム40)、大気中のラドンからの自然放射線を浴びています。その量がどれくらいかというと、世界平均では1人あたり、年間合計で2.4ミリシーベルトになります。この数値が大きいのか小さいのか、今ひとつピンと来ませんね。なお、日本は1.4~1.5ミリシーベルトだそうです。

ところで、人はどれくらいの放射線を浴びると数時間で死んでしまうのでしょうか?人はとんでもなく大量の放射線を一時に浴びても瞬時に死ぬということはなく、じわじわと苦しんで数時間で死んでいきます。そのとんでもない量は、10,000ミリシーベルト(=10シーベルト)以上です。もちろん10000ミリシーベルト弱ならいいというわけではありません。3,000ミリシーベルト(=3シーベルト)を一瞬で受けると約半数の人が急性放射線被ばく症で死んでしまいます。

では、広島の原爆では、どれくらいの放射線被ばくがあったのでしょうか?ガンマ線と中性子線をあわせて、爆心地で約250,000ミリシーベルト(=250シーベルト)、爆心から500m地点で、約60,000ミリシーベルト(=60シーベルト)と推定されています。爆心地から500m離れたところでも、人が数時間で死んでしまう放射線量の6倍あるのですから、とんでもない放射線量であったことがわかります。

短期間に多くの放射線を浴びるとガンのリスクが高まるといわれています。どれくらいの被ばく量で高まるのでしょうか?その答えが100ミリシーベルトです。一時的にまとまった放射線として100ミリシーベルト以上を受けるとガンの発生率が高まります。原発事故では、周辺住民や、作業員がこの量を超えていないかどうかが心配されます。

計画的避難地区というのがあります。避難地区に指定されるのは、放射線被ばくがどれくらいと推定される地域なのでしょうか?それは、年間20ミリシーベルトです。年間の被ばく量が20ミリシーベルトを超えるところでは、人は居住するべきでないということなのです。

日常生活においては、放射線被ばくは少ないほうがいいに決まっています。もともと世界平均で1人あたり年間2.4ミリシーベルトの放射線は受けざるを得ませんが、原子力発電所や医療機関、研究所がそばにあると多少は放射線が周囲にもれでてきます。それによる余分な被ばく量は、1人あたり年間で1ミリシーベルト以下が望ましいと、国際放射線防護委員会が勧告しています。つまり、自然放射線以外に受けるプラスアルファ分の放射線は年間1ミリシーベルト以内にしておきなさいよ、と勧告しているのです。

日本国内では原発事故後、以上の数値を基準にして議論があちこちで行われています。ちなみに、都内では、そのプラスアルファ分は原発事故後でも、0.2ミリシーベルトに過ぎないそうです。

このように原稿を書いていると、医師である私は、自動的に「あれっ」という気分になってきます。
以下の数値を知っておいてください。

  • 胃のバリウム検査の被ばく量は、1回あたり4ミリシーベルト
  • CT検査の被ばく量は、1回あたり、7~20ミリシーベルト

です。早期発見、早期治療と謳って、日本国民は人間ドックや健康診断の「検査」を通じて放射線にまみれています。「毎年、胃の検査を行いましょう」と勧告しているのは厚生労働省です。いまさら、1ミリシーベルトを語るなんて、どうでもいい話のような気がしてきます。

私が「会員の健康を守る」という理念の下、メディカルサロンの創業時から、できる限り放射線検査を避け、採血中心の健康チェックのノウハウを高めてきた理由もわかっていただければ幸いに思います。

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院長:風本真吾

略歴

平成元年 慶應義塾大学医学部卒業
2年間研修医を経て同医学部内科大学院へ
平成4年 四谷メディカルサロン(現四谷メディカルクリニック)開設
現在に至る