風本真吾の健康談話

食生活の在り方

一日二食がいいか、三食がいいかが議論になることがあるようです。栄養学者や医学者が時々テレビで論争しています。司会者はお笑い系のタレントが多いようです。この論争、見ていて非常に滑稽です。

「飢餓状態が長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子を活性化するから云々」と語る学者もいれば、「脳に栄養を送るためには、朝食をとることが必須で云々」と語る学者もいます。
どこが滑稽であるかというと、テレビで論争しているというのが滑稽なのです。番組の進行を仕切っている司会者の腹の中は一つです。

「どちらの肩を持てば、スポンサーに喜ばれるだろうか」

食品業界はテレビ局の大切なスポンサーです。食品業界が喜ぶ話をする方が、有利に論争を進められるように司会者は取り計らいます。当然、食品の消費量が増える話をする方が有利になるように、あらかじめ筋書きはできています。
つまり、たくさん食べて、より太る主張をする方が有利に展開できるのです。たいてい「三食食べなさい」と主張する栄養学者が議論を有利に進めますが、それは単刀直入に、「一日に三食食べると、摂取カロリーはより増えますよ」と言っているようなものなのです。
論争の前に結論が出ています。
そんな論争を企画するテレビ局が、STAP細胞事件で小保方さんを酷評するのですから、身勝手なものです。

一日二食か三食か?

一日二食か三食か?私の答えは簡単です。「そんなものどちらでも構わない」です。自分が生活を楽しめる方を選択すればよろしいです。
ただし、子供の場合は必ず朝食を食べなければいけません。子供は動き回りますので、日中の消費エネルギーが体重の割に大きいのです。
日中の消費エネルギーを回から摂取したもので賄いきれない場合は、肝臓のグリコーゲン、あるいは皮下脂肪が分解されます。この反応が子供の身体の中で盛んに起こると、背の伸びが悪くなるのです。しっかりとした体格を作り上げるためにも、朝食を食べることは必須。朝食を食べれば、昼食は自動的に昼休みに食べることになり、夕方以後は空腹になるので、自動的に夕食が必要になります。
子供の背を伸ばすために朝食が必要であるということは、大人の場合、朝食をとると太ってしまうことを意味します。一日二食でも三食でも構いませんが、体重管理だけは気遣いたいものです。

太っているといけないのか?

太っているといけないのか、という議論が生まれます。これに対する私の回答も簡単明瞭です。「自分の望む生活をした結果(体重)に関しては自分で責任を持ってください。体重そのものより、身についている脂肪の種類をしっかりと考えてください」です。
どんな食品を食べても、脂肪は大量に含まれています。脂肪を含まない食品はカスカスとして、まずくて食べられたものではありません。まったりとした滑らかさは脂肪により生まれるのです。
細長い麺には大量の脂肪が含まれています。脂肪なしではブチブチとちぎれて細長くなりません。つまり、麺そのものにも脂肪は大量に含まれているのです。健康食品そうに見える麺一つとってもそうなのですから、何を食べても、日々の食生活で一定量の脂肪は体内に入ってきます。
その脂肪に対して、「どれだけ青魚系の脂肪を摂取したか」だけが重要なのです。アジやサンマ、マグロ、サバ、カンパチなど、海の表層を泳ぐ魚を毎日一定量以上食べていれば、太っていることそのものは、健康に大した悪影響を与えません。太っていることが問題なのではなく、青魚系成分が体内に不足していることが問題なのです。
ただし、過体重が膝に悪影響を及ぼすことはあります。膝を守るためには、体重を落とした方がいいかもしれません。特に女性は気遣ってください。

肉を食べるべきか、避けるべきか?

肉を食べるべきか、避けるべきかの論争があります。これに関する私の回答も明白です。「大いに食べてください」です。特に、高齢になればなるほど食べるのがいいです。肉はタンパク質源として重要で、肉の摂取量は高齢者の免疫力と直結します。肉をしっかりと食べる人ほど免疫力は強くなり、食べない人は低下していきます。やせすぎの人は、ちょっとしたことで肺炎を起こして死んでしまいます。
子供の場合はなおさら、肉をしっかりと食べるのがいいです。肉を食べると身長が大きく伸びます。
それに加えて、子供の場合はスペシャルなおすすめがあります。肉を食べるのと同時に、青魚の脂肪成分のEPA(エイコサペンタエン酸)を補給するのがいいです。脂肪といえば、皮下脂肪や内臓脂肪を連想しますが、実は、全身に60兆個存在する細胞の細胞膜は脂肪酸でできています(脂質二重膜)。子供時代、この細胞膜に脂肪成分のEPAがたくさん入り込むと、大人になってから食生活をかなり乱しても、健康面ではびくともしない身体になります。将来の健康を守るための、いわば健康体質づくりの急所です。診療現場ではこの観点から、子供にEPAサプリメントの摂取をすすめることがあります。

肉についている脂肪は健康に悪いのか?

肉についている脂肪は健康に悪いのか、という問題にも関心があることでしょう。答えは、「それほど悪くない」です。肉についている脂肪は冷えたら固まるアブラであり、いわゆる飽和脂肪酸といわれるものです。飽和脂肪酸はコレステロールの原料になりますが、そのコレステロールそのものは、心筋梗塞の発症率とは直接の関係が乏しいことがすでに証明されています。とはいえ、飽和脂肪酸は毛穴の中で固まって、ニキビを作ることがありますので、そこは注意してください。
脂肪が多くついている肉をガバガバ食べる食生活では、同時にアラキドン酸系脂肪を摂取しやすいので要注意です。アラキドン酸は、心筋梗塞、脳梗塞、大腸ガン、乳ガン、前立腺ガンの元凶です。アラキドン酸を抑えるのもまたEPAの役割です。

食生活論争はキリがないので、今回はこの辺で終了です。

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