風本真吾の健康談話

欧米化した食生活で、摂取してしまう有害物質とは

健康のことを考えるには、自分の身体を未来に向かってどのようにするか、という目標が大切です。その目標を実現するために取り組む諸行為を「健康管理」といいます。
「死にたくない」「長生きしたい」というのは、誰もが望むことです。「50歳代や60歳代でお亡くなりになりました」などを望む人はいません。

長く生き抜くために身体をどのようにしたらいいか、を論じるのを「寿命管理」といいます。90歳以上まで生き抜くにはどうしたらいいかを考えてみましょう。
どうしたら、90歳以上まで確実に生き抜けるか、というと、答えは、「死ぬような病気にかからないこと」となります。

ここ20~30年、死ぬような病気として、どんな病気が増えているのかを分析してみましょう。心筋梗塞、脳梗塞、肺ガン、大腸ガン、前立腺ガン、乳ガンの6つが猛烈な勢いで増えています。
「肺炎で死んでいる人が増えているのではないですか」という人がいます。テレビなどでは、「肺炎で死んでいる人が増えているから、肺炎球菌のワクチンを打ちましょう」と喧伝しています。しかし、その考えは間違えています。肺炎で死んでいる人のほとんどは、脳梗塞を起こして、身体が不自由になり、介護してもらう中で、食べ物を飲み込む際に間違えて気管、肺の方に流し込んで発症する「誤嚥性肺炎」なのです。だから、「肺炎で死んでいる」というもののほとんどは、その前段階として、「脳梗塞を起こして不自由になり介護を受けている」という状態を連想しなければいけません。

上記6つの病気のうち、肺ガンは吸っている空気の影響、特にたばこの影響が大きいのはご存知と思います。では、残りの5つ・・・心筋梗塞、脳梗塞、大腸ガン、前立腺ガン、乳ガン・・・は、なぜ増えたのでしょうか?
これらは食生活の欧米化と密接に関係しています。もともと日本では少なかったのですが、食生活の欧米化に伴い、増えてきたのです。特に大腸ガンなどは、アメリカに移住している日系2世、3世の発症率が世界1,2を競っていたので、日本人の遺伝体質で食生活が欧米化したら大腸ガンが増える、というのは、40年前から予想されていました。
日本の健康行政が無策だったために、日本においても大腸ガンはめきめきと増えて、今や、女性のガン死因の1位、男性のガン死因では、肺ガン、胃ガンに次いで、3位ですが、今にも、胃ガンを追い抜いて2位になりそうな状態です。

「食生活が欧米化して、ある病気が増えた」ということは、欧米化した食生活により、有害物質の摂取が増えた、ということになります。やや衝撃的な表現かもしれませんが、よく考えてみると、そういうことになるのは間違いありません。
その有害物質とは何でしょうか? それが脂肪成分の一種である「アラキドン酸」というものです。
前回、医学界の思惑が関与して、胃ガンの元凶であるピロリ菌のことが世に広められなかったことをお話ししました。このアラキドン酸に関しては、食品業界の思惑が関与して、なかなか世に広められないのです。何といっても、食品業界は、テレビなどのメディアにとっての大切なスポンサーです。
「食品中の脂肪」といえば、豚肉や牛肉の脂身(あぶらみ)、揚げ物や炒め物で使う液体状の食用油を連想します。人によっては、バター、マーガリン、ラードを想像する人もいるでしょう。
「脂肪」と一口に言っても、この脂肪は、20種以上の脂肪酸と、グリセロールで構成されています。これを学ぶことはやや難しいのですが、「健康で長生き」を目指すのなら、一生懸命に学んで、乗り越えなければいけません。

皆さんが摂取する脂肪は、グリセロールという有機物を仲立ちとして3つの脂肪酸が、つながったものです。図を見てください。グリセロールは、細長い脂肪酸3つとつながっています(図1)。

今回は、主な脂肪酸10種類と、食用油の原料(大豆、ゴマ、菜種など)における脂肪酸組成を示します(図2)。

聞きなれない単語が並びますが、この10種類の脂肪酸の名前は、繰り返し読んで、「あ、その名前、聞いたことがある!!」くらいにはなってほしいと思います。
植物から抽出する食用油においては、リノール酸の含有量が多いのがわかります(図3)。

このリノール酸が、体内でアラキドン酸に変換されて蓄積されます。

「食生活が欧米化した」といえば、ほとんどの人は、「肉類の摂取が増えた」と連想しますが、本当に問題なのは、肉類ではなく、「植物由来の脂肪の摂取が増えた」という点なのです。リノール酸の摂取量が増え、その結果、体内で蓄積するアラキドン酸が増え、そのアラキドン酸のために、心筋梗塞、脳梗塞、大腸ガン、前立腺ガン、乳ガンが増えた、という図式が成り立つのです。

次回は、この話を深めていきましょう。

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