風本真吾の健康談話

死に際の考察

いくら医学が進歩しても、人は必ず最後には死んでしまいます。人類が誕生して以来、死なないで生き続けた人はいません。
ですから、医学の重要な役割は人を死なないようにすることよりはむしろ、生きている間、健康不安なく、楽しい有意義な人生を送れるようにしてあげることであり、死ぬ間際には「生きてきてよかった。満足だった」と思いながら、人生の幕を閉じられるようにしてあげることです。

「生きてきてよかった」「有意義な人生だった」「十分に人生に満足した」と思うのは、死ぬ間際のことです。死ぬ間際に大きな充足感を持てることが、人生の最終目標ともいえるかもしれません。

死に際に関しては、日ころから深く考察しておいて欲しいです。死に際の連想から逃げることよりも、考察を深めるほうが、より安心で充足した人生になると私は信じています。死ぬ間際の医療どうあるべきかに関しても、もっと国民的議論を深めるべきだと思っています。

死に際に関しては5つのパターンがあると、私は日ごろから説いています。

1.突然死

昨日までぴんぴん元気だったのに、突然死んでしまうことです。心筋梗塞、くも膜下出血、大動脈瘤破裂、熱中症などの病気のほか、自殺、事故死などもあります。急に肺炎を起こして2~3日で死んでしまうこともありますが、それも含めます。

2.ある健康トラブル→身体が不自由になる→介護が必要になる→寝たきりになる→肺炎などを発症する→死

脳梗塞や事故などで身体が不自由になると、その後はこのような人生へと落ち込むことがしばしばです。

3.だんだんと衰えていく→動けなくなり、閉じこもる→食べられなくなる→死

特に何かの病気にかかるわけではない老衰の場合はこのパターンです。何かの病気で徐々に衰えていく場合もこのパターンになります。パーキンソン病や肝硬変、取目不全からの透析、慢性心不全、肺の慢性疾患などもこれです。

4.ガンが発覚する→手術で取り切れない→闘病生活→死

ガンが体内に芽生えても、手術で取り切れる程度のものならたいていは助かります。「早期発見。早期治療」は、健康管理体制の金科玉条です。手術で取り切れなかった場合、抗ガン剤や放射線を使った壮絶な闘病生活となります。その結果、大可跡的によみがえるということは減多にありません。しかし、勝利を求めて「闘っているのだ」という気持ちが救いになります。もちろん、奇跡的によみがえる確率を高めていくのが、医療者の挑戦です。

5.全身に広がったガンが発覚する→1~2か月以内に死んでしまう

検査を受けるのに無頓着な人や検査を受けるのが嫌いな人の場合、何かの症状が出て病院に行ったところ、すでに全身にガンが広がっていたということがあります。有効な治療の手立てはなく、痛みをとる治療や症状を抑える治療に取り組みますが、1~2か月で死んでしまいます。何かの症状が出るまでは、ぴんぴん元気に普通に生活していたのが特徴です。


さて、この中でガンに関して語ってみましょう。ガンで死ぬ人は、全死亡者の3分の1を占めます。つまり、同級生が30人いたら、10人はガンで死ぬのです。その死に方は、4.5.のどちらかです。
「ガンで死ぬのは絶対にイヤだ」と思うのなら、「早期発見」を徹底しましょう。胃ガン、食道ガンに対しては「胃内視鏡」。大腸ガンに対しては「大腸内視鏡」。肝臓ガン、腎臓ガン、前立腺ガンに対しては「腹部CT」「腹部超音波検査」「骨盤部CT」。肺ガン、すい臓ガンに対しては
「PET検査」。脳腫瘍に対しては「頭部MRI」。これらの検査を最適の周期で行うことをお勧めします。
がっちりとスケジュールを組んでしまえば、早期発見の万全体制といえます。マイナーなガンがあるのと、たとえ早期に見つかっても助からないというガンも一部にはありますが、メジャーなガンに対してはほぼ万全の備えになります。

ガンの分野に関しては、予想医学が発達しています。
たとえば、「遺伝子検査の結果、あなたは50歳までに87%の確率で乳ガンが出てきます」「遺伝体質と食生活体質から、音同率で大腸ガンが発生します」「遺伝子検査の結果、毎日お酒を飲み続けていれば、70歳前後で食道ガンが出てきます」「肺ガンの中でも最も怖い小細胞ガンが発症準備体制になっています」「ピロリ菌がいて胃粘膜萎縮もあり、胃ガンが出る準備体制です」などを語るのがその予想医学です。関心がある人は、一度は自分の身体にとっての予想医学を聞いておくのがいいでしょう。

さて、たまたま検査をすり抜けて大きくなったガンの場合や、早期で見つかっても助からないというガンの場合は、闘病に突入するか、ガンを無視するか、という選択に迫られます。これは高次元の選択になります。
「ガンを克服するために闘っている」という気持ちは救いになりますが、抗ガン剤や放射線の治療を行ったその日から、治療の苦しみを味わい、生活の自由を奪われることもしばしばです。

「ガンを無視する」という選択は、当面は自由気ままな生活ができますが、「闘っていたら克服できたかもしれない」というイヤな予感を抱きながらの生活になります。
まだガンが出ていない今のうちに、どちらにするべきかの覚悟を定めてほしいと思います。それが、自分独自の健康管理のあり方に連動するのです。

今後も、このシリーズでいろいろ語っていこうと思います。

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